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久良工務店ー久良大作のブログ

大工ですが、建築以外のことを綴ります。 建築については「木の家をつくる~土に還る家づくり」へどうぞ。

原発推進のための企業広告についての疑問

いろんなことを比較検討する際には前提条件を合わせることが必要であり、前提条件が同じでないものを比較することはできない。
「ある地点から、1キロ離れた地点に歩いてゆくA君と、2キロ離れた地点に歩いてゆくB君とではのとではどちらが早く目的地に着くか。」という問いに対し、単純に「A君」と答えることはできない。A君とB君の歩く早さが同じであるとは限らないし、A君の目的地は道険しい山の上かもしれないからである。

11月27日発行の無料広告紙に、以下のような中国電力の広告が載った。

img065.jpg

「100万キロワット級(およそ原子力発電所1基分)の発電所を1年間運転するために必要な燃料の量を、「濃縮ウラン21トン、天然ガス93万トン、石油146万トン、石炭221万トン」だから「ウランは小さくて力持ち」と記述している。
しかし、この比較は先述の前提条件を同じくしない。すなわち4つの中で濃縮ウランだけが高度な加工品である。濃縮ウランをつくるためには精錬,濃縮といった加工が必要であり、その過程で膨大な資材や設備、エネルギーが投入されている。この過程がなくては原子力発電はそもそも成り立たないのであるから、これらに関係する施設を無視して、最終的な発電施設のみを取り上げることは前提条件としてそもそもおかしい。必要となる原子力発電関連施設はすべて発電所の一部として考える必要があるだろう。そうやって前提条件を合わせて比較するのであれば「濃縮ウラン」ではなく採掘された状態での「ウラン鉱石」であるべきだ。調べてみると、濃縮ウラン21トンをつくるために必要な天然ウランは133トン、天然ウラン133トンを取り出すために必要なウラン鉱石は91,000トンとなる。

したがって、厳密に比較検討するのであれば、「濃縮ウラン21トン」は「ウラン鉱石9万トン」でなくてはならない。

もし意図的に前提条件を無視してこのような資料がつくられたとするならば、彼らの提出する資料は全てにおいて信憑性は疑わしい。もし正しい資料と確信してつくられたとするならば、彼らに原発を総合的に管理する能力がそもそもない、ということになる。

原子力関係の情報についてはきわめて閉鎖的で一方通行。検証する術を持たないと知らないうちにだまされる。自分で調べてみないとだめですね。

(追記)
この資料を作成したのは資源エネルギー庁となっているが、それを裏付けるように、日本の各電力会社はこぞって原発推進に都合のいいこの資料を使っている。資料の作成にあたっては当然税金が使われているし、電力会社のこうした広告費用も、消費者が支払った電気料金から支払われている。国の原子力関係予算は年間およそ5000億円で国民ひとりあたり約4000円。この金を全部第1次産業にまわせ、と言いたい。






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