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久良工務店ー久良大作のブログ

大工ですが、建築以外のことを綴ります。 建築については「木の家をつくる~土に還る家づくり」へどうぞ。

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懐中時計

 大工になってから、腕時計をはめなくなった。それまで使っていたものは何個もあったはずだが、壊れたか、無くしたか、今手元に残っているものは一つだけ。それはいま木の枠にはめ込んで車中の置き時計として使っている。腕時計とはもともと相性が悪かったのだろう。そんななか、小学生のとき父が国鉄の払い下げ品として松坂屋で買ってくれた懐中時計だけはいまだに愛用している。ゼンマイ式で毎日巻かないと止まってしまう。これまた車中の置き時計として、先のクォーツのものと並べてトラックの運転席に置いている。クォーツの時計を見て懐中時計の時計の針を合わせてねじを巻くのが、朝、現場に向かう前のトラックに乗り込んでからの最初の仕事だ。朝いつものようにねじを巻くと「プチッ」とバネが切れた。これで3度目。以前、時計店に修理に持ち込んでは断られ、やっと修理してもらった苦い思い出があるが、最近、腕利きの小さな時計店と顔馴染みになったので、今回は安心だ。
 修理ができたとの電話をもらい、引き取りにいった。店は古い木造で4帖ほどの広さ。白髪の老紳士がいつものように迎えてくれた。時計の状態は悪くなく、まだオーバーホールの必要性はないだろうとのこと。修理内容の説明してくれ、「バネがなじむまでは優しく巻いてやってください」と、切れた古いバネを見せてくれた。さびも無く銀色に光っていたので「バネの材質はステンレスですか?」とたずねると、「よくわからんのです。どうも企業秘密のようです」 バネは幅3ミリ、長さ50センチ、厚さ0.3ミリほどのもの。休み無く動き続ける時計の動力部、強さとしなやかさと耐久性が必要で、技術の結晶らしい。畑違いのことではあるものの、同じ職人の専門的、技術的な話が聞けるのはひとつの楽しみだ。昔の鉄製のバネは、建具屋さんがよくもらいにきたそうだ。雪見障子の押さえに埋め込むバネとして、切って使えばちょうど具合が良いらしい。建具屋の衰退に伴ってか、いまはもう声をかけてくることも無いそうだ。何か使えることもあるかもしれない、と「古いバネ、いただいて帰っても良いですか」とたずねて持ち帰った。


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にすけまる

Author:にすけまる
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