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久良工務店ー久良大作のブログ

大工ですが、建築以外のことを綴ります。 建築については「木の家をつくる~土に還る家づくり」へどうぞ。

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ひとは何を見ているのか、また見ていないのか

 日常の移動手段はほぼ100%車だ。仕事には材料と道具を運ばなくてはならないし、数キロ離れた場所にスーパーがあるといっても山間部に住んでいれば普段の買い物も徒歩や自転車では結構きつい。それでもたまに歩いたりすることがあると、普段車で通り過ぎる場所、毎日のように通っていても実は何も見ていなかった事に気づく。あの家に犬がいたことは散歩で吠えられて初めて知る。駅からの道が微妙な上り坂である事は酒を飲んだ帰り道ペダルが重くなって初めてわかる。
 おそらく20年ぶりに、大阪で旧友と酒を飲んだ。雨にもかかわらず、日曜の昼下がりの駅前は人、人、人でごった返していた。大阪市の人口260万人、かたや岩国市は15万人。単純計算で17倍、すれ違う人の数はそんな感じだ。飲み屋までの道すがら、1000人以上とすれ違っただろうか。アーケード前方に、小柄の男が流れの半分くらいのスピードでヨロヨロと歩く後ろ姿が見える。両手に多くの荷物を抱えている。ひと固まりの集団が後ろから男を追い越してゆく。狭い道なので男は半身になってやり過ごす。そんな男にひとりとして目をくれる事なく、皆足早に追い越してゆく。続いて私が追い越す際、軽く会釈をすると、男も軽く頭を下げた。手提げ鞄に紙袋にポリ袋、10以上ありそうな荷物を紛失しないようにあるいは落とさないようにそれぞれをひもで結んで一つにしていた。身なりは相当くたびれていはいたが、ちらとかいま見た顔から推測するに年齢はまだ50歳くらいだろうか。「これからどこに向かうのだろう」「今日のめしにはありつけるのだろうか」そんなことを考えながら振り返ると、男の姿はもう既にそこにはなかった。
 日が暮れるまで男三人飲み続けて散財し、来た道を駅まで引き返す。先の男を目で探すが、当然もうどこにもいない。一日中足が棒のようになるまで歩き続けて集めた空き缶がようやく1000円程度というホームレスの話を思い出した。今日の飲み代は男のひと月分の食費だろうと想像して、何とも申し訳ない気持ちにおそわれた。「さっきのおっさんどこいったんかな」と話しかけようとしたが、はたして友人二人の目には先のホームレスは映っていたのだろうか?との疑問が頭に浮かび、口に出すのをやめた。
 そんな事で、いつものように広島で途中下車して立ち飲み屋に寄る気にもなれず、そのまま家路についた。
 
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にすけまる

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