久良工務店ー久良大作のブログ

大工ですが、建築以外のことを綴ります。 建築については「木の家をつくる~土に還る家づくり」へどうぞ。

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衣に関する雑感

 前にも少し書いたが、着るものにはほとんど頓着しない。仕事に行く時も、家族で買い物に行く時も、用あって役所に出向く時も、子供を連れて図書館に行く時も同じ格好、私の場合、すなわち作業着だ。自営の大工という職種の場合、私生活と仕事との線引きは非常に難しい。現場の休みの日でも何かしら段取りをしたり片付けをしたりすることが多いために、必然的に作業着でいることが基本となる。服やズボンは毎日着替えるために同じものを何枚か用意しておいて着回している。毎日大工仕事で着る服とあって消耗は激しい。白いTシャツはすぐにベージュのようになってくるし、色のついたシャツは日々の洗濯でじきに色あせてしまう。しかし、部分的にほつれたり破れたりしない限りは気にせずにそのまま着ている。美しくはないまでも毎日洗濯されたそれは清潔であり、不特定多数を相手にした接客商売ではないのだからこれで十分。とは本人の言。
 先日、確定申告を終えた後、所用で県の土木事務所に立ち寄る。担当の女性は来客中で10分程度室内で待つ。不意に連れ合いが「なんだかみすぼらしいね」と私を見て一言。確かに、いかにもきたならしい。二の句が継げず、帰る道すがら服を買うため店によったが、店頭にあるものは既に春物一辺倒で、結局適当なものが見つからず何も買わずに家に戻った。家で我が身を振り返ると、うってかわって違和感はない。二人とも平静を取り戻し新しい服を買うという話はすぐに話題から消えた。
 単一色ののっぺらぼうな背景ではモノは強調される。真っ白なビニールクロスが貼られた室内で、まだらに脱色したシャツは薄汚く見えるし無精髭は確かに不潔に見える。それが、おかしなことに自宅に帰って節だらけの板に囲まれた部屋に戻るととたんに気にならなくなる。振り返ってみると、家には人工的な単一色のものはほとんどないことに気づく。そう考えると、先の自分のこの衣に関する感覚は今のこの家が育んだものかもしれない。もし外壁がサイディングで床は無地のフローリング、壁はビニールクロスの家に住んでいたら、やはりそこで違和感を感じないような服、単一色の、色の褪せていない、シミのない服を俺も着ているのかもしれないなとひとり得心し、少しばかりゾクッとした。しかし、自然界に単一色のものは存在しないし、人間社会もしかり。という理由で私は制服は嫌い。「個性を重視」といいながら制服を生徒に強要するような学校や教師の多いこと。彼らは自分の許容範囲内の個性しか認めないのであり、異なる価値観のものたちを受け入れるだけの度量ははなから持ち合わせてはいない。自らの言語矛盾にすら気づいていないにもかかわらず、自分が正しいと確信して聞く耳を持たないのだからたちが悪い。
 新興住宅地のパンティがエロチックに映るのは、その住宅地自体が、工業製品化された物理的にモノトーンな建材を背景として成立しているが故にそのものが必要以上に強調されるのではないか。また、サラリーマンという単一の職種の人間に供給される住宅地の持つ、生活の匂いが打ち消された清潔さがかえってそのものの持つ猥褻さをひきたたせるのではないか、というのが前回の命題に対する今のところの私のこたえ。


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